ファッション向けAIの進出で業界はどう変わる?

ファッション向けAIの進出で業界はどう変わる?

AI(人工知能)の発展が目覚ましい昨今、メディアでもAI関連の国内外のニュースが取りざたされています。それは囲碁や小説、絵画の世界まで及び、アパレル業界でも、多くのAIサービスが取り入れられるようになりました。ファッションの世界におけるAIの活用には、どのようなものがあるのでしょうか。その最前線をご紹介します。

コーディネートを提案してくれる「#CBK(カブキ)」

2014年にリリースされたファッションアプリの#CBK(カブキ)は、提携している300人以上のモデルやインスタグラマーが発信するファッションスナップの中から、利用者が選んだお気に入りのスナップの着用アイテムに似た商品を、#CBKと提携しているEコマースですぐに購入できるアプリです。

このアプリを運営するにあたって、スナップと似た商品を紐づけるために、ひとつひとつのスナップに細かな情報を手入力してきました。その大量のデータをもとに開発したAIが、#CBK scnnr(カブキスキャナー)です。

従来のリコメンドは、主に購入履歴に基づくものでしたが、#CBK scnnrのリコメンドでは、類似性や着合わせを軸としているのが特徴です。#CBK scnnr なら、Eコマースをより活性化させるために、さまざまな軸のリコメンドを使い分けることができます。

#CBK scnnrは、SNS分析によるトレンド予測をおこなっていて、現在も進化し続けています。進化し続ける#CBK scnnrでは、デジタルサイネージと掛け合わせて接客に活用し、お客さんの着てきたアイテムに合う提案をしたり、お客さんの性別や年齢、髪型やファッションなどを監視カメラで来店分析したりできます。分析結果は商品開発やマーチャンダイジングに活かせるでしょう。

トレンドを予測する企業向けAI

2018年に起業したファッションポケットは、画像や映像解析に関するAI技術を核にして、18~40歳の女性をターゲットに、ファッションコーデのトレンドの分析や予測をするAIを開発中です。

すでにアパレル企業数社にAI MD(AIを活用したファッション商品企画)を提供していて、それによって500万枚以上のコーデの画像解析によるトレンド予測を、商品企画に活用することができます。そして、このサービスを活用して作られたファッションが、2019年には実際に店頭に並ぶということです。

また、動体検知のAIと合わせることで、大型ショッピングモールや街中での顧客の動態分析の実験もおこなっています。これは、内装にこだわっている店舗内などでも設置しやすいような特殊なカメラも含めてのサービスで、顧客のタイプやファッションなどによって、店内でどのような動きをしているのかを分析します。

これにより、顧客の行動の把握しきれていなかった部分を埋めることができ、売り場作りに活かしていくことができます。ほかにも、消費者向けのサービスの計画があり、AIを活用した、これまでにない新感覚のECモールを構想中です。

いくつかの質問で「似合う」を提案する「FITS」

Eison Triple Thread(エイソントリプルスレッド)は、メイド・トゥ・メジャーとプレミアムメンズウェアを提供する高級ファッションハウスで、FITSは、そのEison Triple Threadが、顧客のライフスタイルや音楽の好みに基づいて、WEBからオーダーメイドでスタイリッシュなデザインのスーツを申し込むことのできるファッションAIサービスです。

FITSを使うには、まず音楽ストリーミングサービスのSpotify(スポティファイ)のIDでログインし、ライフスタイルに関する質問に答えることになります。質問は、職業や普段のファッション、休日の過ごし方や自分を表す言葉など、多岐に及び、FITSはそれらを分析しつつ、Spotifyから顧客の音楽の好みやどのくらいの時間を割いて聴いているかなども把握します。

すべての質問に答えたら、データベースに蓄積されているイメージコレクションの中から、顧客に似合うファッションの提案があります。イメージコレクションは季節ごとに追加され、新しいスタイルの提案も定期的におこなわれます。

AIによる専属スタイリングサービス「SENSY」

カラフル・ボード株式会社が開発したAIによる専属スタイリングサービスSENSY(センシー)は、掲載されているファッションアイテムに対して、ユーザーが「好き」「イマイチ」と答えていった好みをもとに、コーデを提案してくれるファッションアプリでした。

ECサイトでの利用だけでなく、リアル店舗でも導入され、話題となりましたが、発展途上にあったためか、コーデがあまり良くなかったり、提携するECサイトが少なかったりで、利用者の評判は芳しくなく、2017年冬にサービスは終了となったようです。

現在は、新アプリSENSY CLOSET(センシークローゼット)となって、クローゼットの中にある手持ちの服をカメラで撮影することで、スマートフォン上で管理することのできるサービスを展開しています。

新アプリでもAIによるコーデの提案機能は引き継がれ、提携するECサイト上のアイテムも合わせてコーデの提案をしてくれるようです。クローゼットを持ち歩くことができるようなサービスなので、無駄な買い物をなくすことができることも便利で、これからの可能性を期待できるでしょう。

まとめ

近年ではAIの進化はすさまじく、人間さながらの提案を提供してくれるようになっています。こうしたサービスを活用することで、ファッション・アパレル業界においてもユーザーへのサービス向上や、企業の商品開発は飛躍的に向上していくでしょう。

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