アリババが本格的にファッション業界に!アリババの戦略を解説

アリババが本格的にファッション業界に!アリババの戦略を解説

現在、さまざまな業界にAIのテクノロジーが導入されつつあります。AIとの相性が悪いと言われ続けていたファッション業界においても、AIを取り入れた新たなマーケティングを展開する企業が増えてきました。そのなかでも近年特にファッションAIに力を入れているのがアリババです。
アリババが行うファッションAIとは具体的にどういったものなのか、その特徴やアリババが見据えるファッション業界の将来像についてご紹介します。

香港にアリババのファッションストアがオープン!AIがコンセプト!

アリババグループは2018年7月4日、香港理工大学内に「ファッションAIコンセプトストア」を新たにオープンしました。

ファッションAIとは顧客データをもとに、各顧客の属性・スタイル・カラーの好みなどに合わせて最適なコーディネートを提案するソリューションです。今回アリババグループが開設したストアでは、AIによるコーディネート提案だけでなく、顔認証システム、ICタグ、タオバオIDや天猫IDとの連携、デジタルスクリーン、ECカートの利用といった、新しいサービスの形に積極的に挑戦しています。

同店ではAIによって取得した顧客の行動・購買データをファッション業界・大学機関・小売業者などに公開していますが、この情報公開にはファッション業界とテクノロジーの融合、その普及と発展を促したいという思惑があるようです。

ファッションとAI。世界中で競争が始まった

AIとファッションの融合はかつて現実的ではないと言われてきました。しかしテクノロジーが発達した現在、世界中のさまざまなファッションブランドがAIを組み込んだ販売戦略を取り入れ、売り上げを伸ばそうと競い合うようになってきています。具体的にはAIが顧客に合ったコーディネートをチョイスする「レコメンド機能」や、店員に相談する代わりに店内に設置されたAIの画面に相談する「ボット機能」など多様なAIが導入されてきています。

さらに、近年は各企業が独自のファッションAIアプリを開発してサービスを提供するケースも増えてきました。自分のファッションスナップを送ることで、映っている洋服のサイズやロゴを自動解析してタグ情報を返してくれるアプリ「カブキスキャナー」、さまざまなデータをもとにその人に合う服装を自動でコーディネートしどこで売られているかも案内してくれるアプリ「SENSY」など、ファッション人工知能アプリの種類もさまざまです。

現在、世界最大のECサイト・アマゾンではデザイナーを採用する代わりにファッションAIの開発に力を注いでいます。この流れを見ても、近い将来は各企業間でのファッションAI競争が激化することが予想されるのではないでしょうか。

アリババの挑戦。AIとファッションの融合

ファッションAIの導入と開発が企業間で熱を帯びてきているなか、特にこの分野で力を入れてきているのがアリババです。先に紹介したアリババの「ファッションAIコンセプトストア」の3つの特徴を紹介していきましょう。

1.スマートハンガー

スマートハンガーは独自センサーが搭載されたハンガーであり、店内で商品を手にするとその商品の情報(ブランド、素材、品質、価格、在庫数などの情報)やそれに合ったコーディネートが大型のスマートスクリーン(デジタルサイネージ)に表示されます。

2.独自のECカート機能

スマートスクリーン上で商品をカートに入れると、その情報が店内のスタッフに即時に伝達され、情報を受け取ったスタッフがいち早く該当商品を試着室に持ってきてくれます。服のサイズやカラーを変更して試着したいときも、別の商品をカートに入れてオーダーをすると同様にスタッフがその商品を持ってきてくれます。

3.レコメンドと自動コーディネート

アリババのECサイトでは会員の購買履歴・試着歴などのデータをもとに、おすすめの商品やその人に最適なコーディネートをAIが自動的に判断して提案してくれます。

アリババが描く将来のファッションストア

AIを積極的に導入し新たな挑戦し続けるアリババは、ファッション業界におけるテクノロジーの普及と新しいビジネスモデルを模索しているようです。

中国人の顧客のほとんどはタオバオID、天猫ID、アリペイIDを持っており、これらのID(会員)を通して購入履歴などが細かに管理・分析されます。例えば「試着率は高いが購買率は低い商品」「スマートスクリーンに表示される回数が多い商品」「他の商品と合わせて購入されやすい商品」といった情報が蓄積されていきます。

顧客がその商品を実際に購入しなかったとしても、AIが「購入見込みあり」と判断すればそのユーザーの情報は蓄積されていき、その情報をもとに価格を下げて提供したり、独自のプロモーションを行ってユーザーの購買マインドを刺激したりできます。このような販売戦略はAIだからこそ可能なものであり、今までのファッションストアではあり得なかったことです。

さらに、AIが活用されれば店舗内の人件費、人による接客対応コストを下げることもできます。コンバージョン率のアップやコスト削減という点から見てもファッションAIの可能性は見逃せないものとなっています。

まとめ

アリババに限らず、AIによるファッションイノベーションは世界中の大手ECサイトやアパレル企業、またIT企業で導入されつつあります。特に世界の市場を牽引し続けているアマゾンやGoogleが今後どのような形でAIを取り入れていくのかは特に気になるところです。大手企業のAIシステムが作り出す大きな流れによって世界の市場は様変わりする可能性もあり、今後の展開に鋭く注目しておきたいところです。

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