アパレルECの規模は10兆円に!リアルショップを凌ぐ勢いのEC

アパレルECの規模は10兆円に!リアルショップを凌ぐ勢いのEC

アパレル市場を広い視野で見てみると少子高齢化などの影響から全体としての規模は縮小傾向にあります。しかしそのような傾向の中でも、アパレルECだけは拡大しているという事実もあり、その規模は10兆円に及ぶともいわれています。

このことからアパレル市場にとって2018年という年は、ECがリアルショップを凌ぐ分岐点となる年と見ることもできます。ここでは、アパレル市場においてまさに今起きているECとリアルショップの力関係の大きな変化について解説します。

市場規模が縮小しているファッション業界

矢野経済研究所が2017年10月に発表した「アパレル産業白書2017」では、2016年の国内アパレル総小売市場は9兆2,202億円で、前年比の1.5%減となったことが伝えられました。

また、販売チャネル別の調査結果の中でも特に目だったのが百貨店や量販店における規模の縮小で、百貨店は前年比6.5%減の1兆9,265億円、量販店は前年比7.2%減の8,584億円と、共に大幅に市場規模を縮小したことがその数値から明らかとなりました。

このようなリアルショップの市場規模の縮小は大手百貨店の大型店舗の閉店がニュースとして伝えられることが多くなったことからも想像がつきますが、その影響がファッション業界全体の規模の縮小という結果として現れていることは見逃すことのできない重大な事実といえるでしょう。

ファッション系EC市場は拡大基調|EC市場は10兆円に

リアルショップの相次ぐ閉店などによって全体としての市場規模の縮小を強いられることとなったファッション業界ですが、その一方でファッション系のEC市場に関しては規模を縮小するどころか、逆に規模を拡大しているという事実もあります。

2018年2月に富士経済が発表した日本国内における通販・ECの市場規模に関する調査結果では、ECの著しい規模拡大が通販・EC市場全体の規模の拡大をけん引しており、2018年の市場規模は10兆円を超える見通しであることが伝えられました。また、さらに2019年の同市場の規模は10兆7,833億円に及ぶことが予想され、1年間で7,000億円という凄まじい速さで市場規模の拡大が進むこともほぼ確実視されています。

その中でも特にアパレルは、EC業界全体の中で最も規模の大きなジャンルとなっており、富士経済が発表した調査結果では、2019年のアパレルECの市場規模は1兆8,563億円にも及ぶとされています。この数値からはEC業界全体の実に6分の1をアパレルECが占めていることが分かり、ファッション業界におけるECの重要性が年を追うごとに増大しているということができます。

オムニチャネル化が後押し?

数多くの業界がEC事業に参入している現状において、ファッション業界がその6分の1をも占めるほど規模の拡大に成功している要因としては、ファッション業界におけるオムニチャネル化の促進が挙げられます。

オムニチャネル化によって得られるメリットとしては、リアルショップとECの連携を図ることによる相互への顧客の誘導などが挙げられます。特にもともとリアルショップで商品を販売することが多かったアパレル業界では、オムニチャネルのシステムを構築してしまえばそれをすぐにリアルショップの運営に反映することができるという利点があったこともECの規模の拡大に大きな影響を与えたと考えることができます。

また、近年ではネット上で商品を販売するだけのECだけでなく、テレビの通販チャネルなどを利用したECを率先して行っているアパレル系企業が多くなったこともまた、アパレルECの市場規模の拡大の一因になったことが考えられます。

新規参入やオークションサイトの成長

アパレルECが急速に規模を拡大した要因としては上述したオムニチャネル化以外のことも挙げられます。特にデータ通信量の増加や情報処理速度の向上などのIT技術の発展は、スマートフォンなどの利便性が高い情報通信機器の普及を促進させ、アパレル市場を支える若年層の消費者が高額で高性能な通信機器を購入しなくても簡単にECサイトへアクセスできる環境整備に大きく貢献したといえます。

また、企業側がECの利便性向上のために支払方法の多様化などによってより多くの消費者を囲い込むことに注力したことや、新規参入企業の増加などがアパレルEC市場全体に成長サイクルをもたらしたことも、この市場の規模拡大に深く関係していることが考えられるでしょう。

それに加え、最近ではオークションサイトを通じた個人間取引(C to C市場)も拡大の一途をたどっており、このこともまたアパレルECの市場規模拡大を大きく後押ししています。

まとめ

若年層が大部分を占めるアパレル業界は、少子高齢化が進むにつれて厳しい立場に立たされることは間違いありません。実際、そのことは大型百貨店のリアルショップの減少などにも如実に表れています。

その一方でアパレルECは成長の一途をたどっているというアパレル市場全体の状況とは正反対の傾向もあります。このことから、アパレル業界にとってECをいかにうまく利用し、市場規模のさらなる拡大を図るかということは、現状を打破し、存続するための最も大きな課題のひとつといえます。

プロモーションカテゴリの最新記事