日本と異なるコンテンツマーケティングで成功した海外ECサイト事例3選

日本と異なるコンテンツマーケティングで成功した海外ECサイト事例3選

ECサイトでは、ただ商品の販売を行っているだけでは、ユーザーのリピート率を効率的に上げることができません。特にアパレル業界では、ブランドのファンを増やし、繰り返し商品を購入してもらうことがより多くの利益を上げるためには重要となります。

コンテンツマーケティングはブランドにとってのファンを育成し、リピート率を上げる際に有効な施策のひとつとなっており、多くの日本のブランドが導入しています。しかし、海外では日本とは少し異なるコンテンツマーケティングが、アパレルだけでなく旅行やグルメ関係のサイトでも行われています。今回はその中から「雑誌型」のものに着目し、成功事例を3つご紹介します。

コンテンツマーケティングとは

まずは、コンテンツマーケティングの概要について確認しておきましょう。

コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値があると感じられる情報を発信することを通して見込み客のニーズを育成し、数回にわたる購買を経たのちにそのブランドのファンとして定着してもらうことを目指すマーケティング手法です。

このマーケティング手法では効果が表れるまでにまでに若干の時間がかかるものの、どのようなニーズを持っているのかも分からない潜在層のユーザーを獲得できる上に、一度ファンとして定着したユーザーはなかなか離脱しない傾向があるというメリットがあり、長期的に行うマーケティング手法として注目を集めています。

その一方で、コンテンツマーケティングではペルソナの設定をより詳しく行い、その層に対して集客効果の見込める施策を実行しなければ思ったような効果を得られないこともあります。とりわけトレンドの移り変わりが激しく、世代や性別による好みも分かれやすいアパレル業界においては、このようなペルソナの設定が容易ではなく、マーケティングそのものが大きな失敗を招く恐れがあるということも忘れてはならないでしょう。

海外での成功事例(1)LVMH-NOWNESS

続いては、既に海外で成功している、雑誌型のコンテンツマーケティングの事例を見ていきましょう。最初に挙げるのは「LVMH-NOWNESS」です。

フェンディやディオール、ロエベといった名だたる有名ブランドを傘下に持つLVMHグループは、コンテンツマーケティングの一環として「NOWNESS」を2010年に立ち上げました。LVMHグループが取り扱う商材はファッションやジュエリーなどさまざまですが、NOWNESSでは必ずしもこれらのジャンルにとらわれず、音楽やグルメ、旅行などといった幅広い情報の発信を行っています。

また、同サイトではSNSとの連動も意識しており、例えばInstagramでフォローしたくなるような洗練されたデザインが特徴的な各記事に配された写真の数々は、同グループのブランドイメージを強調する魅力も放っており、実際にLVMHグループの商品を購入したことがない潜在層へのアピールという点でも大きな力を発揮しているといえます。

NOWNESSのような多種多様な情報をWeb上で発信し、読者が好きな記事を選んで読むことができるようになっているサイトをWebマガジンと呼び、NOWNESSはWebマガジンの典型ということができます。

海外での成功事例(2)ラルフローレン

続いてご紹介するのは、いわずと知れた「ラルフローレン」が展開するWebマガジン「RL MAG」です。

RL MAGのWebマガジンとしての方向性は上述したNOWNESSと似通った部分がありますが、NOWNESSがサイト全体で必ずしもLVMHグループが運営していることを強調していないのに対し、RL MAGはサイト全体でラルフローレンが運営していることを強調しています。このことから、RL MAGはラルフローレンにとってブランドイメージをより強固にすることに重きを置いたWebマガジンということができるでしょう。

また、RL MAGの場合もファッションだけでなくアートや旅行といった幅広いジャンルの情報を発信しているという点ではNOWNESSと共通する部分がありますが、RL MAGはECサイトと連動しているという点でNOWNESSとは大きな違いがあります。

このように、単にWebマガジンといっても、それを導入する目的との距離の置き方は企業によってさまざまであり、NOWNESSのような一見するとマーケティングとしての大きな効果は見込めないように思えるものから、RL MAGのようにECサイトへの流入が目的であることが分かりやすくなっているものまでさまざまな手法があるという点も見逃せません。

海外での成功事例(3)バーニーズニューヨーク

最後にご紹介するのは「バーニーズニューヨーク」の事例です。

アメリカ・ニューヨークを拠点とする高級百貨店であるバーニーズニューヨークが運営するWebマガジンは、サイト全体のシンプルなデザインと、テキストだけでなく写真も多用したコンテンツが大きな特徴です。また、各記事では実際にバーニーズニューヨークが取り扱っている商品の紹介も行っており、サイト内からECサイトへ遷移できるようにもなっています。

このことから、バーニーズニューヨークのWebマガジンは、タイプとしてはRL MAGに似ていますが、見やすさを重視したデザイン性により、より多くのファンを獲得しようとしている点では独創性があるといえるでしょう。

まとめ

LVMHグループのNOWNESSの事例からも分かるとおり、Webマガジンを利用したコンテンツマーケティングには、もともとそのブランドに興味を持っていないユーザーを多種多様なジャンルのコンテンツを介して囲い込むことができるというメリットがあります。

また、特にファッションはライフスタイル全体とリンクする性質を持つことから、より広範囲なライフスタイルの提案ができるWebマガジンを利用したコンテンツマーケティングは、ファッション業界との相性がよいといえます。このことから、Webマガジンを導入する日本のアパレルブランドは徐々に増えてきており、この業界では検討に値するマーケティング手法といえるでしょう。

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