越境ECサイトの戦略~ジャパンブランド活かすアパレルサイト

越境ECサイトの戦略~ジャパンブランド活かすアパレルサイト

ここ数年、国内のECだけでなく越境ECを展開する企業やブランドが増えてきました。ここにきてなぜ越境ECが注目されているのでしょうか?
今回の記事では越境ECの基本的な知識から、メリットやデメリット、さらに越境ECで成功を収めるための重要なポイントや注意点についてご紹介していきます。

越境ECで世界を目指せ!

「越境EC」とは中国、東南アジア、欧米など国境を越えて日本以外の国をターゲットにしたEC(電子商取引)のことをいいます。不景気により日本国内の市場が縮小するなか、ターゲットを国外に定めてビジネスを展開するケースが増えてきています。

越境ECを始めるうえで最も重要なことは「どの国をメインターゲットにするか」です。どのような商品がどの国でどれくらい売れているか、ということを事前に調査しなければ越境ECはまず成功しません。現在進行形で日本の商品がその国でどれくらい需要があるか、どういうトレンドになっているかをさまざまなインターネットツールを駆使して調査したうえでECサイトを立ち上げる必要があります。

中国以外の国は基本的にGoogleを検索エンジンとして使用していますから、Goolge グローバルマーケットファインダー、Google Trends、キーワードプランナーなどを駆使して独自のマーケティングリサーチをしたり、その国の人々のSNS上で何が人気になっているかということを調べたりして戦略を立て、独自ECサイトの開設およびECモールへの出品を進めていきます。

越境ECのメリット・デメリットを明らかにしてみる

どんなビジネスにもメリットとデメリットがあり、それは越境ECも例外ではありません。

・メリット

越境ECのメリットには、顧客が海外ユーザーになるので新規顧客を爆発的に増やせる可能性があるということ、また市場が広いので新規参入がしやすい、といった点が挙げられます。

現在のデフレの日本に比べると外国人のほうが消費意欲や消費額・消費頻度が高く、それだけ幅広いターゲット層に多様なアイテムを販売することができます。

また、訪日観光(インバウンド)が増え続ける今、日本で気に入った商品を帰国後に日本のECサイトでリピート購入する外国人も増えてきています。これも越境ECのひとつの狙い目となります。

・デメリット

越境ECのデメリットには「言語」「決済」「配送」などが挙げられます。

海外のユーザーがターゲットですから商品の説明はすべてその国の言語に訳す必要があります。さらに海外ユーザーのサポート対応もすべてその国の言語に合わせなければなりません。

決済においてはクレジットカードが一般的に普及している国では問題ありませんが、クレジットが普及していない国の場合、銀行振込やローカル決済システムを使用しなければならないケースが増えます。

配送においては海外発送における関税の知識、またその国特有の物流の流れなどを詳しく理解する必要が出てきます。国によって法律も異なりますから、その国をターゲットにしたビジネスを展開するうえで各国の法的知識も正確に学ばなければなりません。

越境ECを成功させるためのポイント

越境ECを成功させるためのポイントをいくつかご紹介します。

・オムニチャンネル

オムニチャンネルとはマルチチャンネルの進化系のマーケティング方法です。マルチチャンネルはユーザーの接点となるチャンネルを複数用意する方法で、ECサイト・実店舗・スマホ・タブレット・SNS・WEBメディア・POS・雑誌・カタログ・定期イベントの開催、などを通して販売数を上げていきます。

しかし、マルチチャンネルはそれぞれのチャンネルが独自に動いているのでチャンネルごとの連携が希薄です。これを一歩進め、チャンネルのすべてを連携・統合しユーザーが「いつでも」「どこからでも」その商品の情報を見、購入することができるのがオムニチャンネルです。

例えば実店舗になかった商品をECサイトで探して購入することはマルチチャンネルの範囲ですが、その支払いを実店舗で済まし、受け取りを自宅で行うということが可能なのがオムニチャンネルです。このようにオムニチャンネルはチャンネルすべてを連携・統合し、顧客の管理をより双方向で包括的に行います。

・アプリ展開

ECサイトとは全く別にアプリ展開をすることも越境ECを成功させるためのひとつのポイントです。近年のユーザーはWEBよりもアプリを経由して商品を購買する傾向が高くなってきており、いまやECにおいてアプリ展開は必須要素になってきています。
しかし、単にECサイトと同じ内容のアプリを作るということではなく、いかに顧客が便利に感じるアプリであるか、いかにメリットを感じやすいかということを考えて設計する必要があります。

・SNSの活用と連携

SNSの活用はECにおいて基本中の基本といってもいいでしょう。ツイッターの拡散力は無視できませんし、商品のイメージを強く発信したいなら写真がメインのインスタグラムの活用も欠かせません。

特にインスタグラムでは「visumo」と呼ばれるツールを使ってコンバージョン率をアップさせる方法が流行してきています。visumoを利用するとインスタユーザーが投稿した写真を簡単に検索することができ、同時にピックアップした影響力の強そうなインスタユーザーの投稿写真を自社サイトに掲載するオファーを出すことができます。

こうすることでそのユーザーが発信した投稿は自社ECサイト上に掲載され、それを見た顧客が紐付けされた商品ページで商品を購入するという流れが生まれます。

越境ECにはジャパンブランドを活用するべし

もう一段階、越境ECで売り上げをアップさせるための注意ポイントをご紹介します。

1.ジャパンブランドの活用

ジャパンブランドの影響力は今も健在で、中国や東南アジアを中心に日本の良質な商品に対する関心はとても高くなっています。越境ECでもそれを活かさない手はありません。
中国や東南アジアでは日本の健康食品、ベビー用品、化粧品、生理用品、美容用品など生活一般に関わる商品が人気です。欧米・ではスポーツ用品、高級バッグ、おもちゃ、文房具、アニメグッズなども売れ筋に加わります。
各国によって「特に飛び抜けて売れている日本商品」があるので、そこを突き止めてターゲットにすることで成功率も上がります。

2.各国の方言に注意

日本人が海外のサイトで「変な日本語」を見たら違和感を覚えるように、海外のユーザーも変な訳語を見たら違和感を覚えます。同様に各国に地域によっては独自の方言があり、それに合わせて正しい翻訳を心がけないと顧客は間違った情報を目にしたり、そのサイトに対して不信感を抱いたりします。

3.言語の量とサイトレイアウト

日本語と英語では文字数の量が違うのでそれだけテキストの長さが異なってきます。それと同じで各国の言語の量に注意しないとサイト内のテキストがあまりに冗長になる危険があります。

また、サイトのレイアウトも各国の国柄、気候、人々の性格などに合わせて適切なイメージで効果的にデザインする必要があります。ブランディングイメージの大きさを好む欧米人に、テキスト量の多さばかりが目立つ日本的なサイトデザインはマッチしません。

4.ECサイトのメインカラー

色に対するイメージも各国によって違います。例えば赤の色は中国では「幸福」をイメージしますが、アメリカでは「危険」をイメージします。中国では赤色をメインにしたサイトが多いように、各国で好まれる色彩、または嫌われる色彩というものがあります。越境ECでは世界中の消費者を相手にするので、色に対するイメージをしっかり考慮したうえでサイトを構築する必要があります。

まとめ

デフレが続き、人口も減少傾向にある日本では市場規模の大幅な拡大は見込めないという声があるのは確かです。そうであれば購買意欲の高い海外の顧客をターゲットにし、積極的に越境ECを展開するのもひとつの方法として有効です。とりわけジャパンブランドとしての影響力が高いアパレル業界は、自社のアパレルサイトを越境ECで広く展開するのも価値ある挑戦といえるのではないでしょうか。

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