D2Cの仕入れから販売までの流れ

D2Cの仕入れから販売までの流れ

アパレル業界をはじめ、コスメ業界などでも注目を集めているマーケティングモデル「D2C(ディー トゥー シー)」。仕入れから販売に至るまでの流れを見直し、従来に比べてコストの大幅な削減が可能となったこの手法は、とりわけアパレルECを中心に、商品の販売を行っている企業で率先して導入されています。今回は、そうしたD2Cの特徴やメリット・デメリットをご紹介します。

従来の小売業とは違う!仕入れから販売までの流れ

どのような業界でも、商品の販売においてはメーカーと消費者の間に卸や小売りを行う業者が入ることで流通をスムーズに行い、効率的に商品を販売していました。しかし、昨今ではインターネットを活用したECの普及によってメーカーと消費者が直接取引を行うことが容易になり、この変化によって生じたメリットを最大限に活用するマーケティングモデルとして「D2C」が誕生したのです。

D2Cは、従来とは違う「メーカー・工場」→「消費者」という基本的な流れを守ることで、消費者は低価格で高品質な商品を手に入れることができるのに対し、メーカーや工場側はより多くの利益を確保できるという双方にメリットをもたらす仕組みになっています。とりわけ商品の品質が消費者の購買意欲に大きく関係すると同時に、近年では薄利多売を前提とするメーカーが増えているアパレル業界では、このようなメリットを持つD2Cが大きな変革をもたらすことでしょう。

新しい販売モデル「D2C」の特徴

D2Cでは可能な限り中間業者を排除し、メーカーと消費者が直接取引を行うことが非常に重要です。このことから、既にD2Cを導入しているメーカーでは、企画・製造・販売のすべての工程を自社で一貫して行うという方針を採っていることも少なくありません。

また、D2Cはその性質上、実店舗販売よりもインターネット上でのEC販売に向いており、実店舗を持たないことでコストを削減できるという特徴もあります。それに加え、ECでの販売はそれ自体がメーカーの不特定多数に向けた宣伝にもなることから、宣伝のためのコストをほとんどかけることなく、ブランド認知の拡充が期待できるという点も大きな特徴として挙げられるのです。

さらに、D2Cでは顧客との直接取引が可能になることから、従来の卸や小売りなどの中間業者を介する販売方法では難しかった「顧客の要望に合わせた商品づくり」がしやすくなります。これにより、比較的規模の大きなメーカーでもオーダーメイド商品の製造などが可能になるという点もD2Cならではの特徴といえるでしょう。

「D2C」と「SPA」の共通点・違いとは

D2Cに似たマーケティングモデルとしては「SPA」がよく知られています。D2CとSPAの具体的な違いが分からないという方も少なくないのではないでしょうか。

実際、D2CとSPAは中間業者を排除し、企画から製造、小売りに至るまでの工程を可能な限り一貫して自社で行うという点は共通しています。しかし、SPAは流行に対応する商品を大量に生産し、大量消費することを前提としているのに対し、D2Cは必ずしも流行に対応することを重視せず、また、どちらかというと大量消費よりも品質のよい商品を適正価格で適量販売することを重視するマーケティングモデルであることから、2つの間には明確な違いがあるのです。

以上のことから、D2Cの導入あるいはSPAの導入を検討する際には、双方の違いをよく理解し、どちらが自社のビジネススタイルに合っているのかをよく考えることも重要です。

D2Cを導入するメリット・デメリット

最後にD2Cを導入することによって生じるメリット・デメリットを見ていきましょう。

・メリット

D2Cは中間業者を利用しないためコストを大きく削減でき、その分販売価格を下げられるだけでなく、商品の品質を高めるための予算を多く確保することもできるのです。このことから、D2Cを導入しているメーカーの商品には「低価格なのに高品質である」という傾向があり、このような商品の販売ができるという点はD2Cの大きなメリットとして挙げられます。

また、D2Cではメーカーと顧客が直接やりとりを行うため関係が密になり、メーカー側にとっては顧客に関する情報を収集しやすくなるというメリットもあります。これによりメーカー側は、例えば顧客の閲覧情報や購入履歴をもとにおすすめ商品を紹介するといったことも可能となるのです。

・デメリット

D2CはECに向いているマーケティングモデルであることから、顧客が自分の目で商品を確認するのは難しいというデメリットがあります。しかし、実店舗を展開しているメーカーなら店頭で顧客に商品を直接確認してもらえるため、既に実店舗とECの両方を導入しているメーカーであれば、このデメリットによる影響はほぼないといえるでしょう。

まとめ

メーカーと顧客の距離を縮めることができるD2Cはニッチな市場においても展開しやすく、例えばアパレル業界であれば、ボトムスやスニーカーといった特定の商品しか扱っていないメーカーがD2Cを導入することで大きな成功を収めたという事例もあります。

このことから、D2Cはメーカーが自社の強みや個性を活かしてつくった商品を消費者へダイレクトで届けられるという点で大きなメリットがあり、今後もますます発展していくことが予想されます。

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