モバイルECサイトの高速化でコンバージョン率アップ

モバイルECサイトの高速化でコンバージョン率アップ

大手通販サイトの台頭により、自社ECサイトで商品の販売を行っているオンライン通販事業者は、常にコンバージョン率のアップを図り、より高い数値を実現しなければ生存競争で生き残れない時代となりました。しかし、現在、オンライン通販事業者にとってモバイルにおけるコンバージョン率の低さは大きな問題のひとつです。多くの企業では早急な改善が求められています。今回は、この問題の改善策のひとつとしてモバイルECサイトの高速化でコンバージョン率をアップする方法をご紹介します。

ECサイトのウィークポイントはモバイル対策

パソコンを持っておらず、ネットにはスマホだけでしか接続していないというユーザーが増えていることは、近年特に顕著となっています。また、今後は携帯電話会社による料金の値下げが随時敢行されることが予想されるため、モバイル主流の時代が訪れることはほぼ間違いないでしょう。そのため、コンバージョン率アップにおいても重要なのは、オンライン通販事業者にとってECサイトにおけるモバイルからの流入をどれだけ増やせるかです。

現状でも多くのオンライン通販事業者がモバイルからの流入を目的としたサイトの仕様変更を行っていますが、その多くはデスクトップ用のサイトをモバイルの小さいスクリーン向けにサイズ変更を行う「レスポンシブWebデザイン(以下RWD)」の導入などに留まっています。よって、現時点では多くのオンライン通販事業者はユーザーが実感できるほどのサイトの改善を実現できておらず、モバイル対策はこの業界におけるECサイトのウィークポイントになっているといえます。

ローディングタイムが長いほど、CV(コンバージョン)率が下がる

モバイルに対応するための「その場しのぎ」のような形で導入されたRWDは、デスクトップ向けに作られたサイトをモバイルで閲覧できるというメリットはあったものの、ローディングタイムが非常に長いという致命的な欠点を持っていました。そして、ECサイトでのRWDの導入が進むにつれ、この欠点がECサイトにおけるコンバージョン率の低下に大きく関係していることも判明しました。

その根拠として、とある調査によるとローディングタイムが1秒短縮されただけでコンバージョン率が27%も増加したという結果が報告されています。当然、すべての事業者、業種において、ローディングタイムを短縮するだけで、これほどのコンバージョン率アップが望めるわけではありませんが、スマホで閲覧したECサイトでページがなかなか表示されずイライラした経験がある方などは、このデータの信憑性が理解できるでしょう。

また、この他にもローディングタイムとコンバージョン率の関係性を指摘するレポートは数多く存在するため、コンバージョン率のアップを図らなければならないECサイトの運営者にとってローディングタイムは見逃せない課題のひとつといえます。

アプリとGoogleのせめぎあい

ECサイトにおけるローディングタイムの短縮を実現し、コンバージョン率アップを図る上で大きな助けとなるのがアプリです。これはアプリを介した場合のローディングタイムがWebページを利用した場合に比べて圧倒的に短く、また、一度ユーザーにダウンロードしてもらえば、モバイル内にアプリが存在する限りユーザーにその存在を意識させることができるためです。とある調査ではアプリを導入した場合のコンバージョン率は、導入しなかった場合の4~6倍にも及ぶことが報告さており、アプリはローディングタイムが及ぼすコンバージョン率への影響を改善する上で大きな効力を発揮すると考えられます。

一方、iOS上で使用されるアプリは、ユーザーのWeb上での行動をもとに広告展開を行うGoogleにとって、まさに「目の上のたんこぶ」といえます。このことから、Googleはアプリがトレンド化する前の段階からなんらかの対策を練る必要があることを認識し、その結果、誕生したのが「プログレッシブWebアプリ(以下PWA)」です。このPWAが開発されたことによりモバイルサイトのパフォーマンスは向上し、ユーザーにとってはアプリをダウンロードしなくてもローディング時間の短縮が可能になるというメリットが得られるようになりました。

プログレッシブWebアプリで高速化を図る

PWAはその名称に「アプリ」というワードが含まれていることから、iOSなどで使用されているアプリの一種だと認識されてしまうことも少なくありません。しかし、このPWAはアプリではなく、モバイルの高速化を図るための方法論、ガイドライン、ツールキットと捉えると分かりやすいでしょう。

このPWAは、シェルと呼ばれるUIを機能させるための最小限のHTML、CSS、JavaScriptをコンテンツとは切り離した状態でキャッシュすることにより、ページを遷移するたびにローディングする手間を省ける仕組みになっています。このことからローディングタイムの大幅な短縮が可能となり、アプリをダウンロードしていないモバイルユーザーのコンバージョン率アップへとつなげることができます。

まとめ

モバイル主流の時代へと突入した現代では、モバイルユーザーにとっての利便性を考慮した広義の「高速化」が求められます。今回ご紹介したアプリやPWAはそのためのツールとして有効ですが、大切なのはあくまでも「高速化すること」であるため、これらのツールを使用すること自体が目的になってしまわないよう注意することも忘れないようにしましょう。

マーケティングカテゴリの最新記事