「インスタ映え」はいつまで続く?Instagramの最新動向とファッション業界

「インスタ映え」はいつまで続く?Instagramの最新動向とファッション業界

Instagram(インスタグラム)はここ数年で急速にそのシェアを伸ばしてきました。「インスタ映え」が流行語大賞に選ばれるなど、その利用率や認知度の広がりは目を見張るものがあります。著名なモデルさんやタレントさんが利用しているケースが多く、特に若い女性に人気なのが特徴です。

しかし近年はインスタユーザーの利用目的や活用法が大きく変化してきました。それに伴ってサービスを発信する側も新しい投稿の仕方が求められるようになってきています。Instagramの最新動向とファッション業界との親和性について詳しく見ていきます。

インスタ映えは最強のマーケティングツール

若い世代に浸透しているInstagramですが、経営者や企業にとっても人気が高いツールです。なぜならInstagramはブランディングビジネスという観点から最強のマーケティングツールとなり得るからです。

まずInstagramの国内の利用者数を見てみると、月間のアクティブユーザー数が昨年11月に2000万人を突破しました。海外での利用者は5億人を超えています。利用者が多いということは、それだけ広告やプロモーションに触れる機会が増えるということです。ファッション、ヘアメイク、音楽、料理、デザイン、DIY、ペットなど幅広いジャンルの広告を打つことができます。

そしてそれらの商品やサービスを文字中心ではなくインパクトの強い写真と動画で視覚的に発信できるという点、10~20代の若い女性をターゲットにしやすいという点、インフルエンサーを使って爆発的に拡散できるという点など、マーケティングツールとしての有能性は極めて高いといえるでしょう。

文字ではなく視覚的な写真・動画が中心なので言語や国籍を問わずアピールすることができ、WEBサイトだけでなく実店舗にも客を集めることができます。ユーザーが実店舗で写真を撮り、それをアップすれば口コミが広がり・・・とSNSならではの広がりが可能となります。

インスタ活用の傾向が変わってきた

利用者が増え続けるInstagramですが、それに伴って近年はインスタ活用の傾向が変わってきました。Instagramというと以前は「ファッショナブル」「ハイセンス」「ハイクオリティー」といったイメージが高く、まさにそれが「インスタ映え」といわれてきましたが、近年はそうした意識で写真をアップする人が少なくなってきました。つまり、インスタ映えを意識せずにごく普通の日常的な風景を気ままにアップする傾向が強くなってきたのです。

ここ数年はペット、料理、買い物といったごくありふれた日常を切りとった写真の閲覧率が大きく伸びています。逆にファッション、デザイン、アートなど、かつて「インスタ映え」の象徴だった写真の閲覧率は減少傾向にあります。作りこんで写真や動画をアップするのではなく、日常的でリアルな投稿が中心になりつつあります。

とはいえInstagramにおいてファッションやアートなどの投稿が、今でも一定の役割を保っているのは確かです。しかし、今までのように単に写真をアップするだけでは訴求力は低いといえます。料理、旅行、ペット、家具など日常的なライフスタイルと絡めたアピールが求められてきています。

ブランディング戦略とインスタ

ファッションは見た目の良さが第一なので、ブランディング戦略を考えるとハイセンスかつ非日常的な世界観を大事にしたいところです。しかし上述したように近年のインスタは非日常よりも日常性のほうにシフトしてきているので、非日常のイメージばかりでは利用者は食いつきにくくなっています。そのためファッション業界においてはInstagramの使い方を考え直さなければならない時期が来ているといえます。

単にファッションや商品のみを前面に出す投稿ではインパクトは低く、あまり話題にもなりません。そこで旅行や料理、イベントなど「すべての人にとって親近感のあるもの」「敷居の低さが感じられるもの」を一緒に取り入れ、日常性と非日常性をバランスよくアピールすることが必要になってきています。また、日常性をテーマにした新しいキャンペーンもしくは、既成のアイデアやイメージを大きく変えるような新しい発信の仕方も求められるでしょう。

ファッション業界とインスタの将来性は

ファッション業界とInstagramの親和性は高いのは確かですが、「現在、ファッションブランドがインスタに出稿すると逆にブランド力を毀損する」といわれるのも事実です。例えば最近は中華系の詐欺ショップが商品写真のみで大量にInstagramに投稿しているという例があり、単に商品を投稿することは逆にブランド力を下げる可能性があるのです。かといって非日常だけが前面に出た投稿では敷居の高さからユーザーが近づかない、ということにもなります。

詐欺サイトと類似するような投稿はしない、日常性と非日常性をうまく取り入れて多くのユーザーに関心を持ってもらえる投稿を行う、イベントと連動した投稿を企画する、衣食住を絡めたアプローチをする、モデルだけでなくより親近感の高いタレントや芸能人をインフルエンサーに起用する、など近年のインスタの傾向に応じた新しいブランディング戦略が求められています。

まとめ

Instagramにおけるファッションやアートのインパクト、インスタ映えの影響力は徐々に薄れつつあります。近年のインスタユーザーの志向や使い方がどういう状況であるかを敏感に察知し、それに合わせた新しいブランディング戦略がなければSNSでのマーケティングはなかなか成功しないでしょう。SNS上でどのような発信の仕方がベストなのかを吟味し、常に流行にアンテナを張っていく必要があります。

プロモーションカテゴリの最新記事