韓国のアパレル系ECの現在~韓国に学ぶ人口減時代のEC

韓国のアパレル系ECの現在~韓国に学ぶ人口減時代のEC

日本と同様に、少子高齢化が進み人口減時代を迎えようとしている韓国ですが、2018年の日本の人口が約1億2千万人であるのに対して、韓国の人口は約5千万人といわれています。これに対して、日本でのネット通販の市場規模が2016年で15.1兆円だったのに比べ、韓国のEC取引は、年間17兆円ともいわれています。韓国のインターネット普及率は、世界一なのです。

隣のEC先進国、韓国の実情は?

韓国の人口は、日本の半分以下にすぎないにもかかわらず、EC規模は、日本を大きくしのいで活性化しています。それは、韓国人のスマホ保有率が88%と非常に高く、さらにインターネットのスピードが18 MBPSと世界一の速さを誇り、小売業のEC化も進んでいることなどに要因があります。ちなみに、日本のインターネットのスピードは約 12 MBPSといわれています。

そんな韓国のEC市場は、Gマーケットや11番街などに代表される、日本の楽天市場のような総合型ショッピングモールと、主に個人の業者がコスメやアパレルなどのファッションを取り扱っていることの多い専門通販の2つに大別することができます。

ただ、韓国のECサイトは国内独自のサービスが主で、日本や海外から韓国に進出するのはハードルが高めになっています。まず、韓国に工場や店舗がないと、商品を出店できないサイトが多いので、一部そうではないサイトもあるものの、日本から直接配送するのが難しくなっています。今では全世界に展開しているといっても過言ではないAmazonも、韓国には進出できていません。

韓国でも女性向けのアパレルは成長市場

韓国の個人のECサイトでは、美しいモデルの女性が元祖インフルエンサーとしてECサイトをはじめたことが発端となっていて、今でもサイトの運営者が自らインフルエンサーとなって自身をブランド化し、服をデザインしたりコスメを販売したりすることが多いようです。

そのような韓国の女性向けのアパレル系ECは、日本と同様に成長市場といえます。その中でも、健康志向が高まり、生活に豊かなクオリティを求める人が多くなっていることから、トレーニングアパレル市場には勢いがあります。健康的なライフスタイルを求めて、スポーツやフィットネスに興味を持つ女性が増えていることから、女性向けのトレーニングアパレル市場は特に活性化しています。実に、年平均成長率+24%と、市場を引っぱっていく存在となっています。

ちなみに、韓国女性のトレーニングアパレル使用では、スポーツブラとレギンスが、その4割を占めているのが大きな特徴です。そして、使用目的は、ジムやフィットネスなどが6割、ヨガやピラティスなどのスタジオスポーツが4割となっているようです。

独自に進化した韓国アパレル業界

韓国のEC市場では、アパレル系ECが独自に進化して活性化しているため、ユニークな企業が多くなっています。その中でも「ディーホリック(DHOLIC)」は、在庫ゼロで展開する非常に画期的な通販サイトです。

実店舗もあるものの、売り上げの9割がネット通販によるもので、サイトには毎日女性向け商品だけでも30~40着が新入荷され、掲載されてから24時間までは、全商品10%オフとなります。新商品を価格の安いうちに手に入れようとする顧客を惹きつけ、サイトに毎日訪れたくなるような工夫を怠りません。

そして、ネットで扱う商品に関しては、在庫ゼロで展開しているのが最大の特徴です。注文があってから買い付けるという形態をとっていながら、最短4日で商品を顧客に届けるという流れを確立していて、在庫リスクを持ちません。このため、売り切りのためのセールはする必要がなく、客寄せのためだけに24時間限定の値下げやキャンペーンをおこなっています。

アジア各国とも中国や日本とも違う韓国パワー

上述したように、韓国の人口は日本の半分以下で、市場規模は小さいといえます。このため、海外進出を積極的におこなうことが必要となってきます。また、人口減時代を迎えている日本と同様に、韓国の人口も今後減り続けることが予想されています。その逆境を克服するため、独自のECを展開しているのが韓国EC市場なのです。

そして、韓国の専門通販が海外展開するのを支援しているのが、「cafe24」です。日本だと「Ameba」を使ってブログを手軽に開設できるように、「cafe24」使ってネットショップを開くことができます。何より、初期費用や月額費用が無料なところが、多くの業者が「cafe24」を使っている理由でしょう。

そして、「cafe24」は、海外展開を考える業者を対象に、ネットショップ構築や統合運営代行、市場調査や物流などのサービスを提供しています。このため、韓国のEC市場の専門通販の取引額の40%が、「cafe24」の関わっている専門通販といわれています。まさに韓国のEC市場をリードする存在といっていいでしょう。

まとめ

中国の肥大化やアジアの発展など、大きな分岐点に立つ韓国は、日本と同様に人口減時代を迎えることが予想されています。人口が減るということは自国の市場規模が縮小するということなので、EC業界でも積極的に海外展開を進めています。この姿勢に学ぶ点は多く、すでに、一説では1日51人というスピードで人口が減り続けているといわれている日本の今後の方向にも大きな参考になるでしょう。

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