アパレルのリアル店舗とECサイトをポイントでつなぐ

アパレルのリアル店舗とECサイトを連携させると、相互での集客だけでなく、リアル店舗の顧客をECサイトへ誘導することやその逆も可能となります。古いようで新しいポイントサービスはこのようなリアル店舗とECサイトを連携させるツールとして活用することもできます。

また、昨今ではスマートフォン向けのアプリを活用することでポイントサービスのさらなる充実化も行えるようになっており、これらをうまく利用すればより効果的に顧客の管理やアプローチができるようになります。

ここでは、このようなポイントサービスを利用したリアル店舗とECサイトの連携について実例を挙げながら解説します。

1. ポイントはオムニチャネルの入り口
2. トゥモローランドのメンバーズカードの事例
3. ポイントカード導入のメリット
4. アプリを導入することで効果が倍増
5. まとめ

ポイントはオムニチャネルの入り口

上述したリアル店舗とECサイトの連動によって、より効果的に顧客の管理やアプローチを行うシステムを「オムニチャネル」と呼びます。このシステムを導入することで、例えば店舗の在庫状況とECサイトの在庫状況を連携させることによる機会損失の防止などが可能となります。

オムニチャネルのシステムは決して単純なものではないため、その開発には大手企業ならではの資金力や企画構成が不可欠であると考える方は少なくありません。しかし、実際には必ずしも潤沢な資金と企画構成が必要ということはなく、例えばポイントサービスを導入すれば、それだけでもオムニチャネルの基本的なシステムは構築することができます。

オムニチャネル化を目的としたポイントサービスの導入においては、ただポイントを付与するのではなく、顧客の購入履歴などのデータを管理する機能が必要となります。

例えば購入履歴から分析した顧客の好みと来店頻度などのデータを利用すれば、特定の時期にその顧客が購入しそうな商品をある程度絞ることができ、その際に実店舗とECサイトの在庫が連動していれば、在庫切れなどによる機会損失も防ぐことで、特定の商品を確実に購入してもらうことが可能となるわけです。

トゥモローランドのメンバーズカードの事例

アパレルブランドにおけるポイントカードとオムニチャネルの導入に関してはトゥモローランドの事例を参照すると分かりやすいでしょう。

トゥモローランドでは年間購入金額によってポイント付与率が変化する会員ステージシステムを採用しており、ステージをみるだけでその顧客の累計購入金額や来店頻度が分かるようになっています。また、ポイントの付与はトゥモローランドのリアル店舗とECサイトだけでなく、同社が代理店契約しているブランドショップやセレクトショップでの商品の購入も対象としているため、より多くの顧客データの収集も可能なシステムとなっています。

また、トゥモローランドは、「ドリスヴァンノッテン」「イザベルマラン」「ゴールデングース」などの多くの海外ブランドの単独店とも代理店契約を結んでおり、それらすべての店舗で同じポイントサービスが利用できるようにすることで、リアル店舗とECサイト間での顧客の誘導だけでなく、代理店への顧客の誘導もできるようになっています。

ポイントカード導入のメリット

ポイントカードを導入することで得られる大きなメリットのひとつが再来店を促進し、顧客の囲い込みが図れるという点です。このことはトゥモローランドの事例のように利用可能範囲が広いほどより高い効果が望めます。

一方でオムニチャネル化などにポイントサービスが利用されるようになったことからも分かるとおり、現在ではただ顧客の囲い込みを行うことだけでなく、顧客の詳細なデータを得るという目的においてもポイントサービスは活用されています。

特に上述した購入履歴や来店頻度などのデータはオムニチャネル化を図る上で不可欠なデータとなっており、このことを主な目的としてポイントサービスを導入する企業も少なくありません。

アプリを導入することで効果が倍増

お店ごとに異なるポイントカードを財布に入れておくことに煩わしさを感じる方は一定数存在し、このことはポイントカードの利用者数を増やす上で大きな障害となることもありました。それに対し、現在ではスマートフォン向けのアプリを導入し、画面上に会員番号などを表示させることが可能なポイントサービスも多くなっており、そのことは会員数の増加にも一役買っています。

このようなアプリを利用したポイントサービスの場合、ポイントの付与や顧客データの管理が簡単になるというメリットがあるだけでなく、そのスマートフォンを対象として新入荷情報やセール情報などを定期的に配信することによって顧客との接点を増やすことができるというメリットもあります。

このようにポイントサービスはアプリ化することで、その効果は倍増することから、多くの企業が独自のアプリの開発を率先して行っています。