モバイルファーストの重要性と実践企業の実例

モバイルファーストの重要性と実践企業の実例

近年では、ファッションECサイトだけにとどまらず、ECサイト業界全般的で「モバイルファースト」が重要視されています。これは日本だけでなく、アメリカやヨーロッパなど世界各国でも言われていることです。しかしモバイルファーストとは何のことなのか、日本国内ではきちんと把握できているアパレルECサイトは少ないようです。今回はモバイルファーストとは何なのか、なぜモバイルファーストが必要なのか、どのような効果が期待できるのかについて、実例を交えてご紹介していきます。

そもそもモバイルファーストとは?

「そもそもモバイルファーストって何?」という人もいるのではないでしょうか。「モバイルファースト」とは、PC用のサイトよりも先にモバイル機器向けのサイトを構築することです。PC用のサイトとは切り離し、モバイル専用サイトのデザインやシステムを構築することで、独立したレスポンシブ展開を行う手法ということになります。

しかしモバイルファーストとは「モバイルに対応したサイト」を作成することだけではありません。「すべてのモバイル端末を利用しているユーザーの視点に立って、モバイルユーザー特有のニーズに応える」ということもモバイルファーストです。類似の言葉に「スマホファースト」というものがありますが、これはモバイルファーストの中に含まれる言葉です。モバイルファーストより狭いカテゴリ分類で、スマホで空き時間などに素早く情報を知りたいユーザーに向けた、情報量を絞ったコンテンツ提供がスマホファーストであるという人もいます。

なぜモバイルファーストが必要なのか

総務省が2016年に行った「情報通信機器の普及状況」という調査では「モバイル端末全体」の世帯普及率が94.7%という高い結果が出ています。その中でもスマートフォンの割合が前年度より0.2ポイント減少してはいるものの、普及率は71.8%となっています。これに比べてPCの世帯普及率は約73%となっており、いまやスマートフォンを持っていない人のほうが珍しいと言えるでしょう。

カルチュア・コンビニエンス・クラブが行った意識調査では、Tポイントカードを利用している18~69歳の男女のうち、女性の約4割がネットで洋服を購入しているという結果が出ています。通販で洋服を購入する女性が多い理由としてスマートフォンの普及が考えられる点を考慮すると、やはりマルチデバイスに対応できるモバイルファーストECサイトの必要性は高いと言えます。

先にモバイルファーストのECサイトを構築することで、PCサイトのコンテンツをより厳選してユーザーに届けることができ、さらに今まで取りこぼしてしまっていたスマホオンリーのユーザーをターゲットにすることが可能になります。ユーザー側は読み込むデータ量が少なくなり、表示速度が速くなる、あるいは操作が楽になってストレスを感じないといったメリットがあるのです。

モバイルファースト導入事例①DHOLIC

アパレルECサイトの中でも率先してモバイルファーストをすすめてきた「DHOLIC」は、都内や大阪、福岡など全国各地に実店舗を構えている企業です。オシャレ上手な人に人気の韓国ファッションを取り扱っており、プチプラ感覚の商品の取り扱いが多く若い女性や主婦に人気があります。

PC用サイトもありますが、スマホサイトではデータの読み込みが早く、注目アイテムや人気商品などもスマホ画面から違和感なく見ることができます。デザインもスマホユーザーの使い勝手がよいように設計されており、マイページへのログインや、お気に入り登録した商品なども、メニューにコンパクトにたたまれています。ショッピングカートの位置もTOP画面の右上に表示されていて、ワンタップで内容を確認することが可能です。どの位置にどのアイコンを設定すればユーザーが使いやすいのかを、しっかりと考えて作られているサイトで、長時間見ていても画面が重くなることもなくストレスを感じにくくなっています。

モバイルファースト導入事例②ユニクロ

山口県に本社、東京に本部のあるユニクロは、いまや世界でも有名なカジュアルブランドです。商品企画から生産~販売までを自社内で一貫して行っているため、高品質で低価格な商品を製造・販売することができるため、若い人の間で人気があります。国内のアパレル企業の中でモバイルファーストに積極的で、スマートフォン用の通販専用の公式アプリも登場しています。モバイルファーストを重要視したHPデザインはWebデザイナーの間でも参考にしたいと言われるほどのできのよさです。

TOPページでは、新商品や販売告知の紹介の画像を大きめに入れることで、ユーザーの興味を引きやすくなっています。また画面下部にメニューや検索アイコン、カート、お気に入りボタンや店舗アイコンを固定することで、商品検索をするたびにTOPページに戻る手間を省いています。画像データのサイズもモバイル用に小さくされているため、表示が早くシステムの動作も早いため、ユーザーがストレスを感じることがない設計になっています。

まとめ

今回は、モバイルファーストはどういったものなのかという特徴や、ECショップでなぜ重要視されているのかということについて、簡単にご説明しました。現在でもスマートフォンの普及率は高いのですが、今後さらにスマートフォンの台頭が見込まれ、PCの普及率が下がることが予想されています。そのためこれから先はさらにスマートフォンなどで通販を利用する人が増え、モバイルファーストを重要視したECサイトが必須になってくることでしょう。

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