EC業界のトレンド-決済方法の多様化

EC業界のトレンド-決済方法の多様化

取り扱っている商品のジャンルにかかわらず、EC業界全体では決済方法の多様化がトレンドとなっています。特にかつては一般的であったクレジットカード決済や代金引換とは異なる決済方法の導入は、それ自体が企業の知名度を高める大きな宣伝となることもあり、各社が革新的な決済方法の導入に対して積極的な姿勢を見せています。

ここでは、その中でも特に革新的であり、サービス開始の発表時には大きな話題にもなった「メルペイ」「LINEPAY」「Apple Pay」「ZOZOTOWNのツケ払い」の4つの決済方法について解説します。

メルペイ

メルペイとは東京証券取引上マザーズへの上場も果たした「メルカリ」が、新たに立ち上げた金融関連の子会社の名称、およびその会社が提供することを予定している決済サービスの名称です。こちらの会社の立ち上げが発表されたのは2017年11月20日であったことから、現時点で会社自体の実績は少なく、決済サービスとしての「メルペイ」の提供もまだ開始されていません。

そのため、現時点でメルペイの明確な使い方は発表がされていませんが、ネットオークションサイト「メルカリ」での支払いが対象となることは確実といえます。また、より高いシェアを実現するためにはメルカリ以外での利用も可能としなければならないため、現時点で他のサービスとの連携などが模索されていることが予想されます。

また、チャージ方法に関しても現段階では明らかにされていませんが、若年層の利用者も多いメルカリでの使用をメインとすることが想定されることから考えると、クレジットカードだけでなく、現金や他のウェブマネー、あるいは仮想通貨などからのチャージが可能となることが予想できます。

LINE Pay

「LINE Pay」とは、いわずと知れた「LINE」がサービスの提供を開始した決済方法です。このサービスではネットショッピングでの決済やモバイル送金などを主な機能としており、最近では実店舗でも使用できる「LINE pay カード」が登場したことから、より多くのシーンで使用できるようになりました。

LINE payの基本的な仕組みはLINEの機能を利用しており、送金時には相手の口座番号などを知る必要がありません。また、手数料は出金時にのみ発生することから、銀行を利用した送金や入出金に比べて手数料が割安であるというという点もLINE Payならではの大きな特徴となっています。

LINE Payのチャージ方法にはコンビニ、もしくはセブン銀行を利用する方法とクレジットカードを利用する方法があり、特にクレジットカード登録を済ませると、利用するたびにコンビニやセブン銀行へ行く必要がなくなることから利便性はさらに高くなります。ただし、送金や出金などの一部機能は本人確認を行わなければ利用できない仕組みになっています。

Apple Pay

国内におけるサービスの提供が開始された当初から大きな話題を呼んだ「Apple Pay」は、それから半年以上が経過した現在では既に多くのお店やサイトで利用が可能となっています。

Apple Payの大きな特徴のひとつがクレジットカードやSuicaなどの電子マネーを最大で8枚まで登録可能となっている点です。このことにより、現在ではApple Payに登録したスマートフォンさえ持っていれば複数のクレジットカードや電子マネーを持ち歩く必要がなくなり、決済も簡単に行えるようになりました。

また、Apple Payは原則的に決済時には指紋認証を必要とすることから、不正利用をされる危険性が極めて低いという点でも革新的な決済方法といえます。それに加え、Apple Payは実店舗だけでなくネットショッピングなどでの決済にも対応していることから、今後もApple Payに対応したお店は、実店舗、ネットショップ共に増加していくことが予想されるのです。

ZOZOTOWNのツケ払い

複雑なシステムを新たに構築することが前提となっていた決済サービスの革新において、基本的な考え方に立ち返るという発想の転換のもとサービスの提供が開始されたのがZOZOTOWNのツケ払いサービスです。

この方法は実店舗において古くから行われてきた支払方法である「ツケ払い」をネットショッピングで導入するという特異さが大きな話題を呼び、サービスそのものだけでなく、ZOZOTOWN自体もより広く知られるきっかけになったといえます。

このサービスでは、商品の代金を2カ月後にまとめて支払うことを可能としており、期間限定で324円の手数料を無料とすることなどによって、20代~30代の若年層を中心としたより多くのユーザーの獲得に成功しました。その一方で購入額が支払い能力を超えてしまい、期限を過ぎても支払いができなくなってしまうユーザーも一定数存在するといわれていることから、サービスを提供する側にはユーザーの支払い能力を確認するための審査制度などの導入が求められます。

まとめ

ここではEC業界のトレンドとなっている決済方法の多様化に関して、新たに登場した「メルペイ」「LINEPAY」「Apple Pay」「ZOZOTOWNのツケ払い」の4種類の決済方法を例に挙げ、解説しました。

新たな決済方法は、AppleやLINEなどの必ずしもECを主な事業とはしていない企業が開発を行っているという点も大きな特徴となっており、今後はさまざまな業種の企業が新たな決済方法のサービス提供を開始することでEC業界全体にも大きな変化が訪れることが予想されます。

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