モバイルUI/UXの在り方や改善方法を考えるとき、世代による使用方法の違いを考慮しながら設計をする必要があります。ITテクノロジーに触れながら育ったミレニアム世代には独特の世界観があり、それまでの世代とは一線を画した対策を取るなど、ターゲット層によってUI/UX変えることで転換率はアップします。例えばチャットボットなど最新のUIを取り入れれば、ミレニアム世代の要望も満たすことが可能です。ここでは事例と共に具体的な方法を簡単にご紹介します。UI/UXで世代別の対策を図り、ECサイトの転換率や利用率をアップさせましょう。
フリックスとタップは世代によって使用率が違う
株式会社ジャストシステムが2015年4月に「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」の結果として発表した、スマートフォンの文字入力の方法についての調査によると、世代よって入力方法が違うという結果が出ています。フリップして入力する方法(フリック入力)を最も利用していない世代が30代であり39.6%のみ、50代の40.6%や60代の45.7%と比べてみても使用割合が低いという結果でした。
その理由として考えられるのがフィーチャーフォンの存在です。30代はフィーチャーフォンが普及した世代であり、スマートフォンでもタップを繰り返して文字を入力することに抵抗がないということが考えられます。逆に携帯電話は初めからスマートフォンであった10代だと、フリック入力を利用する割合が63%にも登ります。
全体平均だと4割程度がフリック入力を利用していることになりますが、30代と50代の割合が低く、10代は飛びぬけて高い状態でありその差は大きいです。入力場面でユーザーがイライラしてしまう場合、世代背景の違いが関係していると言えます。
スマートフォンのUIを考える
スマートフォンの場合は上述のように世代別で入力方法に違いが見られるので、ストレスを与えないためにもその世代に合わせたUIにする必要があります。何回もタップして文字を入力する30代にとって、間違ってボタンをタップする可能性も高くなりミスをしやすくなるので、タップした後に跡が残るといった防止策を取るなどひと工夫を加えるといいでしょう。
サイト構成も商品説明は必要なもののみを表示するようにします。タップを何回もすることに慣れていない世代では、商品説明を選択することすら面倒だと感じる可能性があるからです。なるべくページ全体をコンパクトにまとめて1度スクロールしただけで全体を把握できるようにします。理想は商品画像も情報も、そして購入ボタンもすべて1画面に収めるようにすることです。
ボタンの使いやすさを向上させたり、どの指を使っても押しやすいように画面右寄りに広く配置するなど、どの世代でも使いやすいようなUIを構築するかターゲット世代用のUIにすることが、離脱を防いだり転換率を上げるポイントになります。
アプリ・モバイルUI/UXで検討すべき5つのポイント
スマートフォンで文字入力をするときに表示されるソフトウェアキーボードの改善は、ユーザーのストレス軽減に直結してきます。そのため入力の手間を省くための手法がいくつもあります。また、ボタンのデザインも転換率を左右する大切な要素なので、この2つの点を事例も交えながら見てみましょう。
1.表示するキーボードは入力内容に適したものにする
電話番号といった数字のみの入力、名前などテキストのみの入力、数字とテキスト両方が含まれた住所の入力は、それぞれ違ったキーボードを用意することにより入力しやすくなります。
2.ダミーテキストはフローティングラベルも利用する
インラインラベルは正しく記入できるようにするために有効ですが、入力すると消えてしまうというデメリットがあるうえ、既に入力が完了していると勘違いを招く可能性もあります。
3.自動の部分を適切化
自動で大文字入力ができるようにしている場合、メールアドレスの入力欄は無効にする必要があります。また、自動修正の利便性がよくないとストレスを感じるため、辞書機能がない場合は自動修正をわざわざ有効にしておく必要はありません。
4.ボタンは同じカラーを利用して明確に
定額制カミソリ配送サービスのDollar Shave Clubではサイト内のボタンは同社のアクセントカラー、オレンジで統一しています。手続きをするための場所が明確になるので、迷わず購入できます。
5.情報をクリックひとつで表示
Dollar Shave Clubではボタンを押せばナビゲーションが表示されるようになっています。カジュアルブランドのSuperdryでは絞り込み検索の画面において選択肢をチェックするごとに商品が表示されなど、利用者に手間をかけさせず欲しい情報を提供しています。
この他にもオートコンプリートの利用、誤送信してしまわないように入力中はEnterを無効にするなど、少しの工夫で利便性の高いUI/UXにすることが可能です。
「ミレニアル」や「iジェネレーション」にフィットしたUI/UXデザイン
ミレニアルは2000年以降に社会人や成人になった世代を指し、iジェネレーションはポストミレニアル世代を指します。いずれにしてもこれからの消費を支える世代でありECサイトにしてもこの世代を意識したデザインにすることは効果的です。彼らは科学技術の発展した世の中で、常に最新のテクノロジーに触れながら成長した世代だからです。
この世代を惹きつけるためにはシームレスであることが重要なので、モバイルデバイスであるスマートフォンの活用は欠かせません。ただし、混乱させないためにPCと全く違うデザインにするのではなく、核となる部分は同じにする必要があります。
たくさんの情報に触れる機会が多いミレニアム世代は、ロードに時間がかかるだけでもすぐに他へと流れてしまいます。長くサイトに留まらせるためには何かをしながらでも簡単に閲覧、利用できるようなサイトやアプリにすることが大切です。デザインをシンプルにして不要な情報は削除し、何か途中で邪魔が入ってもまたすぐに再開できるようなEXにしましょう。
そして疑問がわいたときに利用者である彼ら自身が即時自己完結できるよう、その手助けとなるUI/UXを設定する必要があります。他人とのやり取りが面倒で、しかし、いち早い情報を求める彼らにとって、わからないことを人に確認するだけではなくチャットやメールで聞くことすら煩わしいことなのです。
以上はミレニアム世代に合わせた方法ですが、この世代だけではなく他の世代に合わせたモバイルUI/UXにもしたい場合は、年齢別レスポンシブデザインで世代別に対策を取ることが可能です。
タップ派?世代別で違うベストなモバイルUI/UXのまとめ
モバイルUI/UXはターゲット世代に合わせることで、ユーザーのストレスを軽減し離脱を防ぐことができます。世代に合わせて表現を変えることは事例から見ても世界的なトレンドであり、モバイルサイトやアプリ構築に欠かせないポイントです。UI/UX改善のためにキーボードやボタンの利便性を向上させ内容を絞り込みページを見やすくするとき、同時に世代に合わせた使い方ができるようにしましょう。ページの見た目をあまり変えずにUIを変えページ内の配列や配置を変えるだけでも、EXが改善され転換率を少しでも上げられます。