ECサイトのUXトレンド

ECサイトのUXトレンド

近年のスマートフォンの普及によって、より注目されてきたUX(ユーザー体験)。その動向は年々変化していて、ECサイトにも毎年新しいトレンドが取り入れられています。リアル店舗の接客に近い対応ができる「チャット対応」や、ますます重要視されている「動画コンテンツ」も利用されるようになってきました。5Gが一般的になれば、これらのUXサービスはさらに多くのサイト上で利用されることになるでしょう。今回は、こうした近年のUXトレンドをいくつかピックアップしてご紹介します。

24時間365日対応も可能なチャットコマース

LINEをはじめとしたSNSが普及してから、「テキストベース」の交流が身近になり、無人店舗とも呼べるECサイトで「接客」が可能となりました。こうしたECサイト上における自動会話を行うプログラムは「チャットボット」と呼ばれ、24時間365日対応が可能です。「チャットボット」は、膨大な自社商品データから、それぞれの色や素材、在庫などの情報を把握していて、顧客の購買履歴やページ閲覧履歴、商品の好みまでも理解したうえで、接客を行います。チャットボットの普及が進んでいる米国では、Facebookメッセンジャーのチャットボット経由で購入した消費者の70%以上を新規客が占めるなど、新規顧客の獲得にも効果的といえるでしょう。

国内の事例としては、「日本直販」がLINEアカウントを利用した「チャットボット」で顧客とテキストベースの会話をしながら、商品を提案する新たな取り組みを開始しています。ユーザーの投稿によっては「商品ランキング」などのURLを表示するというアプローチもでき、顧客の好み・興味に応じた効果的な購買促進を促せるのです。さらに、将来的にはLINEのトーク画面にて、チャットで消費行動を促す「LINEコマース」を実現する予定もあるようです。

このように「チャットボット」は、ECサイト上において接客ができる重要なツールのため、将来はECサイトに必須になるかもしれません。

ユーザーが求めるパーソナライズ

ユーザーが望んでいるパーソナライズとは、どのようなものなのでしょうか。例えば、リアル店舗で商品を試着した際に、店員がその服とコーディネートできるような服や小物をいくつか見繕ってくれることがあり、こうした動作はECサイト上でも重要です。

しかし、現在Webサイトにパーソナライゼーションを導入している小売業者は、たったの62%ほどといわれています。したがって、いち早くECサイト上で顧客ひとりひとり合わせた情報提供を行うことは、他店との差をつけるために有効な手段といえるでしょう。

パーソナライズの主な例としては、Amazonで行われている、閲覧履歴に基づいて、ユーザーごとの好みに合いそうな商品を表示するレコメンドがあげられます。消費者の75%が商品やメッセージのパーソナライズを肯定的に捉えているというデータもあるのです。

また、イギリスで使用されているモバイルアプリで潜在顧客に対して旅行パックのパーソナライズを始めてから、購入数が210%増加したという事例もあります。パーソナライズはECサイトの購買促進に効果的といえるのです。

引き続き注目されている動画コマース

画像よりも商品の質感や動きを伝えることができる動画は、今後のECサイト上ではさらに重要なコンテンツフォーマットになり得るでしょう。動画視聴はスマートフォンの普及による影響もあり、世界的なトレンドになっています。

現在、日本のインターネットトラフィックのうち、約8割は動画によるものです。一方、これまでの動画コンテンツは、ブランドイメージの上昇には寄与しても、コンバージョンにつなげることには最適ではないとされてきました。

しかし、動画コマースはその動画コンテンツからLPを介さずに、コンバージョンを生むことができます。例えば、デジタルマーケティングツールの「TIG(ティグ)コマース」は、動画内に映っている商品をフリックすることで、商品をカートに入れることができるなど、ECサイト上でより新しい買い物体験を得ることが既に可能になっているのです。

写真やテキストベースの静止画での商品訴求よりも、動画を使用したマーケティング手法は、今後売り上げを伸ばすための大きな一助となるでしょう。

売り上げアップにつながるUI/UXデザインのトレンド

近年、スマートフォンやブラウザの進化によって、サイト上で表現できるデザインの幅は大きく広がりました。そのため、UIやUXを考慮したデザインが実現でき、売り上げアップに貢献しています。

例えば、サイト上の鮮やかな「配色」は、グラデーションの背景や、色が移り変わるアニメーションなど、さまざまな手法で表現されるようになりました。サイト上の配色の変更は、ユーザーから注目を得ることができるうえ、配色のカラーパレットを一度作成すれば、デザインを手軽に変更できるメリットもあります。

文字のフォントにおいても、デバイスのスクリーン解像度の向上により、多くの表現が可能になりました。現在は、ビンテージ書体や太字スタイルでよりユーザーに読みやすく、サイトのレイアウトに統一感を持たせるものを取り入れるのがトレンドです。

また、スクリーンを分割したデザインも利用され続けています。このデザインのメリットは、写真を並べただけのようなデザインだけでなく、階層を比較的自由に作成でき、商品ごとにサイズ変更が可能なことです。アイテムの大きさによって重要度を表現できるこの方法は、ユーザーにとって利用しやすいページ作成に効果的といえます。

まとめ

デバイスの高機能化により、ますます多岐にわたるサイト上でのUI/UX。しかし、一口にUXトレンドといっても、配色やデザイン、音声など、多種多様なものがあるので、企業やECサイトの商品をアピールするためには、目的に最適な要素をピックアップして活用することが重要です。

スマートフォンやPCなど、ユーザーが利用するデバイスによってもUI/UXトレンドは異なり、日々変化していきます。新たなサイトを構築する、あるいはサイトをリニューアルする際には、最先端のUI/UXトレンドをチェックし、効果的に取り入れることが重要といえるでしょう。

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