異常な猛暑で売り上げが!?気候がアパレル業界に与える影響

異常な猛暑で売り上げが!?気候がアパレル業界に与える影響

年々激しさを増す気候変動の中でも夏場の猛暑は私たちの生活スタイルにも変化をもたらし始めています。とりわけ服装はこのような気候変動の影響を受けやすいことから、顧客側のニーズにも大きな変化が表れ始めており、その影響はアパレル業界全体におよび始めています。

そこで今回は、気候変動がアパレル業界にもたらす影響について考えてみたいと思います。

世界的な異常気象。猛暑がライフスタイルを変える

2018年の夏は例年に比べて暑いと感じた方は多いことでしょう。このことは気象庁が発表している1ヵ月ごとの平均気温のデータにも表れており、2018年7月の平均気温28.3度は、2001年と2004年同月の28.5度に次ぐ史上3番目に高い記録となりました。また、2018年8月の平均気温28.3度に関しても平年を大きく上回る数値となっており、梅雨明け直後から猛暑が連日続いたことが分かります。

一方、このような異常気象は日本だけでなく海外でも発生しており、アメリカやオランダ、ギリシャなどの欧米諸国では酷暑とそれによる山火事などが発生し、そのことは日本でも大きく報じられました。また、2018年の猛暑はこれらの数年に一度のペースで猛暑が発生する国々だけでなく、フィンランドのような本来は夏でも気温が30度を上回ることがない国でも観測されており、異常気象は世界規模で生じているといえます。

このような異常気象はただ暑いというだけでなく、今までの生活習慣や文化を変える可能性を秘めていることから、その動向に対しては今後も注視する必要がありそうです。

アパレル業界における気候変動のリスクは?

このような異常気象はアパレル業界にも影響を与えるリスクを秘めており、とりわけ2018年の夏のような猛暑はそのリスクが大きいといわれています。2013年に気象庁が一般社団法人 日本アパレル・ファッション産業協会と共に行った気候変動とそれがアパレル業界におよぼす影響に関する調査では、特に猛暑において以下のような影響がアパレル業界におよぶことが危惧されるとの報告がされています。

・コート

調査の結果、女性もののコートは最低気温が10度を下回り始める時期に販売数がピークを迎え、男性もののコートはそれに1週間ほど遅れる形で同様に販売数のピークを迎えることが分かりました。

猛暑が長引くとコートの販売数がピークを迎える時期は大きく後ろへずれ込み、コートを着用する期間は短くなることが考えられます。そのため、猛暑には1着のコートをシーズンでまたぐように使用する人が増え、販売数が減少するというリスクをはらんでいるといえます。

・ロングブーツ

ロングブーツは1日の平均気温が15度を下回り始めたころから急激に販売数が伸び始めるというデータも表れています。そのため、ロングブーツの場合もまたコートと同様に猛暑が長引くと販売数が減少する可能性があるといえます。

以上のように、猛暑に限定した場合のアパレル業界への影響を見てみると主に冬物アイテムの販売数の減少が大きなリスクとして想定されます。

天候が左右するアパレル業界の特質

それでは、このような気候変動によるアパレル系企業への影響の具体例にはどのようなものがあるのか見ていきましょう。ここでは、気候変動が業績に大きな影響を与えたジーンズメイトの例を挙げたいと思います。

低価格帯のカジュアルウェアを取り扱い、全国にチェーン展開を行っているジーンズメイトでは2014年2月期決算において、営業損失を当初の4億円から6億8,200万円、経営損失を当初の3億7,000万円から6億3,000万円、当期損失を当初の5億3,000万円から7億5,600万円へ大きく下方修正しました。

この理由として同社は、記録的な猛暑により冬物商品の販売開始当初の売れ行きが伸び悩み、既存店の売り上げ前年比が93%に止まったことを挙げ、さらにその影響は続く3月次の春物商品の売上にもおよびました。

季節によって販売する商品が変化するアパレル業界において気候変動がおよぼす影響は一時的なものではなく継続して表れるため、アパレル業界はほかの業界に比べて天候に左右されやすいという性質を持つといえます。

それでも猛暑を売り上げアップにつなげる方法とは

一方で猛暑がアパレル業界の売り上げに悪影響を与えてしまうのは、業界自体が気候の変化に対応しきれていないためともいえます。よって、考え方次第では猛暑を逆に売り上げをアップさせるための商機ととらえることもできるでしょう。

例えば、量販店では猛暑になるとオシャレな日用品がよく売れるようになるといわれています。アパレル業界も猛暑になった場合は、日傘やアームカバーなどのオシャレな小物を多く取り扱うようにすると冬物の売り上げが減ることによる損失の埋め合わせができるかもしれません。

このように、売り上げに影響するほどの猛暑が続く場合は、あえてそれを商機ととらえ、売り上げを伸ばすための方法を考えてみるのがよいでしょう。

まとめ

今回は猛暑を取り上げましたが、気候の変動は冬の厳寒や、秋や春の期間が短くなることなどにも表れます。特に気候変動の影響を受けやすいアパレル業界は、このような気候変動に柔軟に対応し、新たな商機を見つけていくことが継続して業績を上げる上で不可欠といえるでしょう。

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