アパレル・ファッション業界のECサイトは商品の質や品ぞろえ、トレンド以上に、サイトの使いやすさ=ユーザビリティが重要だといわれています。使い勝手が悪いとユーザーは離れていき、それが売り上げの減少につながることもあります。では、ユーザビリティ向上のためには具体的に何をすればいいのでしょうか。そこでユーザビリティにおける基本的な知識や、NGなユーザビリティ、売り上げアップにつながる効果的なユーザビリティについて解説していきます。
WEBサイトに基本的なユーザビリティとは
ECサイトにおける基本的なユーザビリティについて、いくつか説明していきます。
1.見やすいフォント
テキストが小さすぎたり、読みづらい書式だったりするとユーザーは文章を読む気持ちが減退するため、適切な文字サイズ、可読性の高いフォントで表示することが大切です。また、ECサイトは情報量が多くなりがちなので、適切なスペース(文字間のスペース)も必要となります。
2.トップページやナビゲーションの固定
ショップのロゴが常に上部に表示されるようにしておき、ロゴをクリックすればいつでもトップページに戻れるようにします。また、ナビゲーション(メニューボタン)も常に固定し、どのページからでもクリックできるようにしましょう。特に縦スクロールが多いサイトでは有効です。
3.使用デバイスごとのデザインを考える
以前はPCからのアクセスがほとんどでしたが、近年はスマホでの閲覧率のほうが高い傾向にあります。PCに最適化したデザイン、スマホに最適化したデザインの両方を作る必要があります。
4.リンクテキストを統一する
サイト内のハイパーリンクのスタイルを統一することで、ユーザーは「このテキストはクリックできる」と素早く認識できるので、ページ遷移の回遊率が高まります。
5.スペースを活用する
あまりにもテキストや写真の間隔が詰まっているサイト、情報過多のサイトは使いづらく、ユーザーも見ているだけで疲れてしまいます。文字間のスペース、画像周りのスペースを適度にとったデザインにすることでユーザーの使いやすさは向上するでしょう。
誤ったユーザビリティに効果はない
誤ったユーザビリティでECサイトを構築してしまうと、効果が上がらず、売り上げアップも見込めません。このような場合、特に目立つのが特定のユーザーに絞り込んだユーザビリティになっていないということです。
ユーザーが満足を感じる要素は個々で違います。「楽天やAmazonのように品ぞろえが多くて使いやすいサイトが良い」という人もいれば、「LOHACOのようにオシャレでスタイリッシュなサイトが好き」という人もいるでしょう。
これらすべてのユーザーの満足度を高めようとすると、妥協点が多くなって中途半端なユーザビリティになり、かえってすべてのユーザーにとって満足度の低いサイトになってしまいます。多くの人が100%満足できるユーザビリティは存在しません。
そこで、満遍なくユーザーの満足度を高めようとするのではなく、自身のECサイトに合ったユーザー、特定のユーザーに絞った形でユーザビリティを作ったほうが、ある一定のユーザーを確実につなぎとめておく結果になりやすいのです。
自社のECサイトが獲得したいユーザー層はどういった人たちなのか。求めている理想的なユーザーの定義は何なのか。そこに絞って確実にユーザーを獲得できているか。その点を見極めることが重要です。
売り上げアップにつながるユーザビリティとは
ECサイトの売り上げアップにつながるユーザビリティの要素にはどんなものがあるでしょうか。そのポイントをご紹介します。
1.商品画像(ビジュアル)のインパクト
画像の大きさやビジュアルのインパクトによって、ユーザーの印象度は大きく変わるでしょう。ユーザーは実際に手に取って見られないので、画像で購買するかどうかを判断しています。購買意欲を刺激するような、魅力を伝えるためのさまざまな形の商品画像を用意すべきです。
2.検索機能やカテゴリ分けの充実
ユーザーが欲しいアイテムを簡単に見つけるための検索機能の充実は必須です。価格別の検索、カテゴリ別の検索、カラー別の検索など、できるだけ詳細に絞り込みができるようにしましょう。検索バーを常に固定しておくことも重要です。
3.購入プロセスの簡潔化
Amazonのサイトを一度でも利用したことがあるなら、誰もがその購入プロセスの簡単さを実感しているのではないでしょうか。どうすれば容易に購入ボタンを押してもらえるかはECサイトで特に大事な要素です。購入までのプロセスを簡潔にし、ユーザーに負担をかけないようなユーザビリティなら効果が期待できます。
アパレル業界で最も重要なユーザビリティは商品写真!
効果のあるユーザビリティとして「商品画像(ビジュアル)のインパクト」を上述しましたが、この要素はファッション性の高いアパレルECサイトでは最も重要なポイントと言えます。そこで、ユーザビリティを向上させる商品写真の掲載方法とポイントをご紹介します。
1.全方向やコーディネートの写真が見られる
正面の写真だけでは、その商品の魅力が伝わりません。横や後ろからの視点、さらに他の服とのコーディネート例など、ユーザーに商品の魅力が伝わるよう複数の画像を用意するといいでしょう。
2.アイテムごとにコンテクスト(状況)を付ける
このアイテムはどういう使い方ができるか、どういうシーンに向くか、誰が好んで使っているか、といったことを伝えます。こうすることで、ユーザーは自分がそのアイテムを使っているイメージを持ちやすくなるでしょう。
3.カラーやスタイルごとの写真を載せる
同じ型の商品でも、ユーザーによって好みのカラーやスタイルは異なります。できるだけ多くのカラーやスタイルの写真を用意し、選択の幅を増やして購買率を高めていきましょう。
まとめ
ECサイトにおけるユーザビリティは、サイトを運営し続けるかぎり常に改善していく必要があります。サイトが完成したら終わりではなく、購買率やユーザーの流入、離脱率などさまざまな視点から細かに分析し、ユーザビリティの最適化の作業を随時行わなければなりません。
どれだけ質の高い商品が多くても、使い勝手の悪いサイトや商品の詳細が分かりづらいサイトでは、購買率は上がらず、ユーザー数も増えないでしょう。ユーザーの視点に立って客観的に判断し、どうすれば最適なユーザビリティに近づけるかを日々検討していくことが大切です。