AIがデザインする新しいファッション!すでに始まっている人工知能とアパレルEC業界

AIがデザインする新しいファッション!すでに始まっている人工知能とアパレルEC業界

現代はAI(人工知能)の能力を利用した新しいにマーケティング手法が広がりつつあります。AIの将来性を問うのではなく、「AIをどう使っていくか」「AIをマーケティングでどう取り入れるか」という段階に達しているということです。ファッション業界においてもAIの導入やAIとのコラボが盛んに行われています。

ここでは現代のファッション業界でAIがどのような使われ方をしているか、また近い将来の私たちの購買スタイルやパーソナルファッションのあり方がどう変化していくかについてご紹介していきます。

SENSYの衝撃~ファッションのためのパーソナルプラットフォーム

2017年6月、東京ビッグサイトで開催された「AI・人工知能EXPO」にてSENSYと呼ばれる画期的なプラットフォームが展示されました。

SENSYはファッションに特化したパーソナル人工知能プラットフォームです。SENSYの特徴はそれぞれのユーザーの好みをAIに学習させ、その人だけの感性・センスを理解し、2500を超えるブランド商品の中からユーザーに合ったファッションを提供するアプリです。

また、企業側から見るとSENSYはユーザーひとりひとりの購買行動を把握し、各アイテムの需要を導き出すという能力も発揮します。「販売価格はどのくらいが適正か」「どれくらい値下げをすればよいか」「どのアイテムの需要が高いか」といったことをSENSYの能力とデータ収集によって予測することができ、それに基づいてマーケティングを行い、売上アップを目指していくことができます。

開発側は販売価格の適正化やトレンドアイテムの把握など、SENSYを活用した販売戦略を今後もさらに加速させていく方針です。

アパレル業界との共同開発から生まれた

SENSYの開発はカラフルボード株式会社とアパレル業界大手のTSIホールディングスの共同開発によって行われました。

もともとファッションブランドの商品開発や販売計画、予算管理といったものはマーチャンダイザー(管理責任者)の実績や経験、勘に頼ってきた面がありますが、これでは精確な予測は立てられません。このような理由から、AIを活用して需要を予測しようとしたのが始まりです。

SENSYによって需要予測、購買予測、行動予測、商品情報、市場トレンド、広告の打ち方、競合他社の状況などを細かに分析し、実験を繰り返したところ、人間のマーチャンダイザーよりも高い精度を示しました。今後も実証実験を繰り返し行い、SENSYの精度を高めていく方針です。

SENSYによって集められた情報はビッグデータとして保管されます。百万人単位の全顧客数の購買データ、好み、リピート率、トレンドといったデータは、現在だけでなく将来のマーケティングに活かすことが可能です。

その後のコンシューマーを追うAI

通常、商品を販売したあとの顧客の着用状況はなかなか把握しきれず、データ化が難しいといわれてきました。しかし、SENSYを使えば顧客のクローゼット状況を把握することができ、その後の顧客の動向や着用率を踏まえて新たに商品を提案できるようになります。これによって販売側の接客力だけでなく、顧客の利便性も向上します。

今後、すでにリリースされているSENSYのアプリと連携させることで、顧客のクローゼットを学習して最適なコーディネートを提案するサービスを本格的に開始する予定です。このサービスは「SENSY CLOSET」と呼ばれ、需要を予測するサービスである「SENSY MD」との連携によってさらに細かな提案ができるようになります。まさにAIを通して生産・販売が行われるという新しい時代が到来しつつあるといってもいいでしょう。

近い将来の新しいパーソナルファッションへ

これまでは自分が欲しい商品を店頭やオンラインカタログで探すということが普通でしたが、今後はAIを介して自分に合ったパーソナルファッションを実現する時代が到来するかもしれません。ユーザーの好みや関心、特徴、購買傾向、センスをAIが学習し、そのデータに基づいてユーザーにぴったりのファッションやオススメ商品を提案するという形が実現すれば、今まで以上に簡単にテーラーメイドのファッションを購入できるようになるといわれているのです。

販売側から見ても、ユーザーの好みをAIのデータで分析し、「売れる」確率の高い商品を提案したり、広告表示やレコメンド表示したりすれば、効率よく売上を伸ばすことが可能です。また、オーダーが入る分だけ生産するという形であれば、売れ残りが発生することも少なくなります。

このようなAIによる「ファッションのクリエーション」は、近い将来、現実のものとして訪れる可能性が高いです。学習したデータに基づいてAIが大まかなデザイン・提案を行い、細かな部分は人間のデザイナーや職人が仕上げる、そんな新しいプロセスのクリエーションもやがては訪れるのではないでしょうか。

すでに始まっている人工知能とアパレルEC業界のまとめ

AIやネットの技術的進化が加速している今、既存の古い販売手法やビジネスのあり方では競争に勝てない時代に入ってきているといってもいいでしょう。とりわけAIはビジネスモデルを大きく変革する可能性を秘めています。これからはAIをどう取り入れていくか、どのようなコラボができるかを模索していく必要があります。これはファッション業界に限らず、どんな分野においても同じことが言えるはずです。「AIと共生・共創する」という新しい時代はすでに幕を開けています。

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