世界最大のECサイトであるAmazon(アマゾン)の戦略は常に先進的で他の追随を許しません。小売業界はAmazonに頭が上がらないといわれるほどで、Amazonが世界のネット販売に与える影響は甚だ大きいです。
なぜAmazonは世界最強であり得るのか、その秘密は何なのか、同じようにECサイトを運営している者にとって参考にできる点はないか。今回はAmazonの経営戦略と他のECサイトに比べて優れている点を詳しくご紹介していきます。
価格面での優位性は揺るがない?
Amazonは自社が確保している商品のみならず、世界各国の企業や個人のAmazon出品によって商品の圧倒的な豊富さを実現しています。
さらにAmazonの経営戦略のキーとなっているのが「ロジスティックスの改善」です。Amazonは2014年までに1.4兆円という巨額資金を物流の整備に投資しました。梱包ノウハウから人的ノウハウまで物流を徹底して改善することでさらなる低コスト化を実現し、そこから低価格化という流れを作りました。価格が下がれば顧客が増えて売上が上がり、その売上をさらに物流の効率化にあて、物流の効率化はさらなる低コスト・低価格を生む・・・という好循環です。
この「物流改善」→「価格の低下」→「顧客の増加」→「売上の増加」というサイクルこそAmazonの価格優位性を実現しているといってもいいでしょう。Amazonにおいて購入者も出品者もいずれもが満足度が高いのはAmazonが何十年と積み上げてきた物量の豊富さ、物流の良さ、そして低価格という点に秘密があります。
どうしてもプライム会員になってしまう!そのメリットは圧倒的
Amazonの人気の秘密は「会員にならないほうが損!」といわれるほどのプライム会員のメリットの多さにもあります。近年はこのプライム会員が急激な増加傾向にあります。
メリット
- プライム会員は送料が無料
- お急ぎ便やお届け日時指定便が無料
- プライムナウを使えば最短1時間で商品が到着する
- プライムミュージックで100万曲以上の音楽が聴き放題
- プライムビデオで2000以上の映画、テレビドラマなどが見放題
- プライムリーディングで電子書籍が読み放題
- プライムフォトで容量無制限のストレージが使える
- kindle端末やFireタブレットが4000円引き
- 家族2人まで会員特典が受けられる
- タイムセールに30分早く参加できる
- 食品や日用品をまとめて安く配送してもらえるAmazonパントリーの利用
などなど豊富なメリットが目白押しです。
デメリット
- 無料お試し期間(1ヵ月間)が終わると自動的に有料会員に移行してしまう
- 一般会員でも2000円以上の購入で送料は無料になる
- 電子書籍読み放題のサービスには「kindle(キンドル)」などの端末購入が必要
- 月額プランと年間プランでは900円の差が出る
などが挙げられますが、やはりメリットのほうが強烈なのは確かでプライム会員数が急増しているのも頷けます。
奇をてらわない!オーソドックスで使いやすいサイトデザインと構造
AmazonのWEBデザインは特別オシャレなものではなく、また奇をてらったものでもありません。Amazonが重要視しているのはユーザーの「利便性」の良さです。ユーザーがいかにスムーズにストレスなく目的を達成できるかを中心に据えています。
CTA(コールトゥアクション)の最適化
Amazonのサイトでは各画面でユーザーが取りたい行動のほとんどをボタンやバナーで表示しています。次にどういう行動をすればいいかが明白に分かるのでユーザーは迷うことなく簡単に操作を終えることができます。トップに固定されたメニューナビゲーションも商品のカテゴリー選択からマイアカウントの情報までワンクリックで移動できます。
ユーザーの目的達成のしやすさ
Amazonのヘルプボタンはヘッダーの分かりやすい部分に配置されています。また、返品や問い合わせについても問題解決のためのアクションがしやすい構造になっており、アンカーテキスト(関連情報へのリンク)も豊富でユーザーを迷わせません。
レスポンシブウェブ
AmazonのWEBデザインはスマホ、PC、タブレットなど、どんなデバイスでアクセスしても簡素化されていて見やすく、表示速度も速く、必要なコンテンツが的確に出てくるので非常にユーザビリティに優れています。
このようにオーソドックスながら「いかにユーザーが最短で目的を達成できるか」を重要視した作りこそAmazonの高評価に結びついています。
ビッグデータと検索機能の高度化
2016年、Amazonはネット上における商品検索でGoogleを上回り50%以上の数値を記録しました。この成長の背景には消費者レビュー、アクセス情報、商品情報、検索といったビッグデータを駆使した運営があります。
私たちがAmazonを利用して商品を買ったとき「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という表示が頻繁に出ます。この表示が出るとついついクリックして商品ページを見たくなります。Amazonでは商品を購入したユーザーの行動をデータ化し、「同じ傾向を持つユーザーならばどういう商品を購入したくなるか」を割り出しているのです。このようなオススメ表示もビッグデータを活用したAmazonの戦略のひとつです。
Amazonは全世界のユーザーの行動データを集積したビッグデータを保持しています。ビッグデータの膨大な情報を駆使することで需要や流行をどこよりも先取りし、検索機能・精度を高度化し、他企業との連携を拡大し、ユーザーの満足度や利便性をさらに高め・・・とまさにAmazonは「ビッグデータ企業」といってもいいのではないでしょうか。
Amazonの戦略と優れている点まとめ
ECサイトを運営するにあたってAmazonの経営戦略から学べる部分は多々あります。Amazonほどの情報量がなくてもできる範囲でデータ分析を行ってユーザーの行動を把握し、ユーザーの満足度を確保する、利便性の高いサイト構造を目指すことはできるはずです。
Amazonのやり方をそのままトレースするだけでなく、自分なりに工夫やアレンジを加えてサイトを効率的に成長させていきましょう。