ECとバーゲンのリンケージが売上アップに!アパレルのバーゲンを再検討してみる

ECとバーゲンのリンケージが売上アップに!アパレルのバーゲンを再検討してみる

日本百貨店協会は、昨年2018年7月の全国百貨店売上高が前年同月比でマイナス6.1%だったことを発表しました。6月・7月と2回のバーゲンセールを実施したものの、台風をはじめとした天候の影響を受けて不発に終わった形といえるでしょう。
そこで今回の記事では、百貨店のバーゲンが不発に終わった背景やその問題点、また今後ECとバーゲンにおける顧客獲得のための新しいアプローチの仕方について解説していきます。

百貨店では夏期2回のバーゲンを行うも不発

百貨店が夏期2回のバーゲンを行ったものの、主力商品である衣料品の売り上げはおよそ10%減少しました。売り上げが伸びなかった理由には天候以外にも以下の点が挙げられます。

1.夏物は定価自体が安く、バーゲンのありがたみがない

夏服はシャツ、半袖、ノースリーブ、ショートパンツなど薄めのアイテムがほとんどで、冬服に比べて定価が安いのが特徴です。もともと安いものはバーゲンがあってもあまりお得感を感じられず、少量しか買わない人は安物をわざわざバーゲンまで待って買う必要もありません。

2.シーズン前は大型連休がなく、人出も少ない

夏期バーゲンは、本格的な夏シーズンが始まる前(例えば6月後半、7月の頭など)に開催されることが多く、この時期は大型連休がありません。そのため、お正月などの冬期バーゲンに比べても人出が少なくなります。休日に開催するといっても、通常の土日と変わらないので、集客は期待できないでしょう。

3.夏は冬に比べてボーナスが少ない

夏はボーナスが支給されない会社もあり、それだけ購買意欲がわかない人が多いのは否めません。また、夏ボーナスの支給額は冬よりも少ない傾向も見られ、冬期バーゲンほどの消費は見込めないというのが現状です。

百貨店のバーゲンにおける問題点

さらに、季節ごとに開催される百貨店のバーゲンセールには以下のような問題点があります。

1.他店と価格面での差別化ができない

売上アップのポイントは、「競合他社と差別化を図る」ということです。ここで問題なのは、同じ時期にこぞってバーゲンを開催すると、結局は顧客側に「どのお店で買っても同じ」という意識が働いてしまうことです。そのため、顧客が分散してしまい、思ったほど売り上げが伸びないという結果になってしまいます。つまり、価格が強みにならないわけです。

2.バーゲンを開催していることがわかりにくい

百貨店は高級志向が強く、各店はブランドイメージを損なわないような店舗作りをしています。そのため、安売りを強調した「POP広告」などの宣伝をほとんど見たことがない方も多いのではないでしょうか。そのため、外からはバーゲンが開催されていることがわかりづらいかもしれません。よってお客さんは、バーゲンの開催を知らないため店に入らず、購入につながらない、という悪循環になってしまうのです。

一方、大手ショッピングモールのインショップのバーゲンは、POP広告などで宣伝するのが一般的です。顧客側からするとわかりやすく親しみやすいので、気軽に入店できるでしょう。

アパレルECではフロントエンドのバーゲンが有効

ECサイトでは季節ごとのバーゲンセールとはまた違った、新しい視点でのバーゲンセールが効果をあげています。

1.フロントエンドのバーゲンを入り口にする

フロントエンド商品とは、一言でいうと「目玉商品」のことです。格安の目玉商品を用意することで集客し、その商品に合わせたコーディネートや関連商品を提案して購入してもらうことで、さらに売り上げを伸ばすことが期待できます。格安の目玉商品で人を集め、単価の高い他の関連商品の購入につなげる戦略です。

2.SNSと連動してバーゲンを宣伝しやすい

ECサイトの売り上げは、SNSからの情報発信の良し悪しによっても大きく変わってきます。売り上げが安定しているECサイトほど、ツイッター、インスタグラム、Facebookなど、各SNSを駆使し情報を拡散して顧客を広げています。バーゲンセールにおいても、SNSと連動して細かに告知を行えば、情報をキャッチしたユーザーの多くがサイトにアクセスします。SNSの拡散力を活かす手法は、ECサイト運営では必須といっていいでしょう。

アパレルECは個人に合わせて差別化も狙える

ECサイトでは、「個人」にアプローチしたキャンペーン展開も効果的です。

例えば、誕生日、結婚記念日、入学祝い、卒業祝いなど、個人のイベントに合わせてキャンペーンを行い、「その時」に必要としているもの、心に訴えるものを提案します。こうすることで、商品の価値が上がり、顧客の購買意欲も高まるので、値下げをする必要がありません。たとえ値下げをする場合でも、顧客にとっての特別なイベントに合わせて実施すると、特別感が増し、満足度向上につながるでしょう。さらに、その人によって特別な日は異なるので、季節のバーゲンと重なることを避けられます。

このキャンペーンの良さは、「顧客個人との信頼関係」を深めることができるという点です。不特定多数の人を対象にした「ありきたりのバーゲンセール」ではなく、「個人を大切にしてくれたキャンペーン」であることで、顧客はそのショップ(ECサイト)のファンになってくれるでしょう。

顧客一人ひとりに感動を与えることで、「どこで買っても一緒」という意識から、「いつもそのお店で買いたい」というファン意識に変わります。この信頼関係の構築、「個人の感動・共感」を考えた運用こそ、より現代的な、時代に合ったECサイトのあり方といってもいいでしょう。

まとめ

バーゲンやセールにおける考え方、または顧客との関係性もここ数年で大きく変わってきました。とにかく値下げをして、大量にモノを売ればいいという考えは古くなりつつあり、今は商品の「価値」や顧客との「関係性」を強める方向にシフトしています。

顧客側も、単に安いものを買うのではなく、本当の意味で価値ある商品を買いたい、自分を大切にしてくれるショップで買いたい、という意識が強くなっています。とりわけアパレルECにおいては、顧客個人との信頼関係を強めたサービス、キャンペーン、または現代の情報社会にマッチした手法(SNSなど)を積極的に取り入れていくことが求められるのです。

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